NPOカメチドリ(略称)鹿児島

3 景観条例制定へ向けて


  海岸の自然景観を守ることは簡単ではありません。
まず3つの事例を紹介します。
(事例1;海岸の落書き)
海岸の北側にある若宮神社前の堤防に10mx3mにも及ぶペンキの落書きが突如現れ、そのわずか数か月後には南側の岩船海岸の岩場の一番大きな岩(高さ約2m)を白いペンキで塗りつぶすという事件が発生しました。海岸の景観を壊しているため海岸協議会を通して市に消去するよう何度もお願いしましたが、市は景観に関する法規制や罰則がないこと、また市の管理地ではないとの理由で費用は使えないとのことでした。やむを得ず当NPOと地域の有志で半日かけて消しました。
番号:0203-001
10mx3mの巨大な落書きの消去作業 2022年3月
番号:0203-002
岩船海岸の岩場の白く塗られた岩(高さ2m) 2021年10月撮影
(事例2;砂浜に放置されたままの海の家)
砂浜に立てた海の家の2階が台風で吹き飛び、駐車場の看板を直撃したり、近隣の家に落下して破損したり、近くの畑にも落下しました。海の家は破損したまま7年以上も放置されて、そのうち廃墟となり、その後も荒天のたびに建材等が飛散し、破損した窓ガラスが砂浜に落下して遊泳域が危険な状態が続きました。そのような状況でも、市も県も事業者に改修や撤去をさせられなかったし、強制撤去もしませんでした。建材が飛散するたびにNPOで片づけたり、市の担当部署が来て片づけることを数年繰り返したあと、民間の協力を得て、ようやく廃屋を撤去しました。民間で廃屋を撤去するまで行政はほぼ無力でした。そもそも、砂浜に「年間を通じて」海の家が設置されているのは日本中でおそらく脇本海岸だけであり、そのこともおかしいですが、このような問題が発生しても改修や撤去をさせられないのが現実です。
番号:0203-003
築15年 長年メンテされず、海岸の景観を破壊する海の家 2022年1月撮影
(事例3)
白砂青松とうたわれた海岸の防風林の松は昭和40年代に枯れて全滅しました。これを取り戻そうと地元中学同窓生が還暦祝いに松の植樹を継続していますが、ボランティアに頼るだけになっており、植樹し管理する人たちが高齢化するなかで、行政の支援が必要になっています。
番号:0203-004
景観条例/計画の必要性

以上のような問題は、どうやったら解決できるのか、ずっと悩んでいます。ボランティアでできる景観つくりには限界があります。阿久根市の近隣市町はどこも「景観条例/計画」を20年前から制定して着々と景観つくりを進めており、成果が出ているように見えます。阿久根市も豊かな自然景観や歴史景観があるのですが景観創造どころか少しずつ崩れていっているように見えます。阿久根市には「景観条例/計画」を制定してほしいと訴えています。手をこまねいている時間は無いので、鹿児島県が講師を派遣する「景観アドバイザー研修会」に目を付けて、市も民間も景観に対する意識の向上を図ることにしました。2022年11月には阿久根市から県に要望して研修会を開催しました。2023年は当NPOから要望して計3回の研修会を開催してもらい、2024年2月には当NPOから「阿久根市景観計画(0次案)」を市に提出しています。
民間の有志がいるうちにこの輪を広げ、「景観条例/計画」の制定へつなげたいと考えています。市民の大きな声で後押ししていただければ幸いです。

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